3月号 * anthology           わが身ひとつはもとの身にして     中島 靖子
       
もう少し生きることにするあなたの息吹きを覚えておくために   
線刻のゆりは白磁の壺にさき失せたる影を探しつづける
 
変わらないものがこの世にあるのかとポインセチアの赤きを見てる
わが声はあなたの岸に砕かるるさざなみなるをゆふぐれの鳩
しひたげられて生きてきましたこの場所であれは木星老年の星
ことの葉の波はさびしそうに退いて汝の躰に還っていった
また買つてしまひしことの淋しさや天蓋のなき冬の空の下
去る年の羽毛を飛ばし西の陽にしんそこひとり遊ぶ鳥なり
いちめんに枯れゆくものは清潔な音をひびかせ枯れてゆきたり
メロディーは時には魔物南北朝武将の歌に涙の絶えず
梢高く咲く花の名は知らざれど朝の静寂を渓に下れり
残生を幾許かなどは想わずて此処に棲む吾を夫はよろこばん
          しを              つと
胡蝶蘭咲いて萎れてまた咲いて昔の勤めの夢は苦しい
       
堀 隆博   多田 草   廣岡 優 黒瀬 珂瀾 山田 富士郎 小林 久美子 松原 未知子 源 陽子 佐伯 裕子 高橋 志津子 山下 真知子 鎌田 弘子 岡井 隆
       

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