2月号 * anthology うつろな霧のむかうに見えた或る日     松原 未知子

お互いにあたえてばかりまよなかのあかさたなはまやらわるくない
女性には一人で産むという選択のあること羨し 洋梨を剥く
牛糞とロキシー・ミュージックこね上げて蝸牛の殻にあふれしめたり
イチローがペトコ・パークで叫んでた「ヤバい」の転義は採用されず
どのやうな幸福を得し人ならむ踊りつつ来る昼間の歩道
うすれゆく記憶のなかでいくたびも掴んでしまう鉄棒がある
屋上の柵に両前足を掛け<どこか遠く>を犬は思うか
大根をぬきたるあとの土のやう虚脱の光しづかにためて
大百合の蕾はすこし口あけて朝の空気を汚しはじめる
あの虚無の霧はこのところ晴れてゐる深い法則のやうに朝雲
加藤 治郎 中沢 直人 さいかち 真 資延 英樹 池田 はるみ 西巻 真 黒田 雪子 井上 敦子 嵯峨 直樹 岡井 隆


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